怖い思いをしたとき、恐怖心を和らげるために誰かに共有したくなることはないだろうか。
視聴履歴に並んでいた『ナオキマンの都市伝説ワイドショー』。
「誰が見てんねん」と思いながら、でもちょっと興味もあったりして、思わず再生ボタンを押してしまった。
我が家は、単身赴任や進学で家族バラバラに暮らしている。そのためサブスクのアカウントを共有しており、誰が見たかはわからなくても、“何を見ているか”は把握できる。
帰省のたびに「このドラマ見てたの誰?おもしろかった?」「誰かが見てたから見てみたんだ~」なんて会話が交わされる。
『ナオキマンの都市伝説ワイドショー』は、その名の通り、信じるか信じないかはあなた次第な都市伝説を語るトーク番組。政治やメディアの闇など、タブーに切り込んでいく。大半はエンタメとして楽しめるが、ひとつだけ笑えないテーマがあった——“終末論”だ。
自分の生死に関わるテーマだけに、やたらと怖い。
たとえば、漫画家・たつき諒が東日本大震災を予言したとして有名だが、彼女は「2025年7月5日に大災害が来る」とも予言している。隕石だとか戦争だとか、世界中の不吉な予言がどういうわけか2025年7月に集中しているらしい。あと二か月で人生が終わるというのか。というか、誰がこの番組を見ていたのか。恐怖を共有したい一心で、いちばん怪しいと思われる母に電話をかけた。しかし…母は見ていなかった。
「ナオキマンはよくYouTubeで見るけど、その番組は知らんなあ。YouTubeは寝る前に聞く用だし。それよりも怖い話があってさ——」
——『相席食堂』の“ちょっと待てぇ!”ボタンを押したくなる三連発。
まさかのナオキマン愛用者、しかも都市伝説を睡眠導入剤にするタイプだったとは。安心と信頼の母だと信じていたのに。
そして、母の話す“もっと怖い話”もテレビ番組だった。
月曜夜10時放送の『クレイジージャーニー』で取り上げられていたのは、ある民族の儀式。死霊や生霊を自らに憑依させ、祈りを捧げるのだという。トランス状態に陥った人々の中には、自傷行為を始める者も。刃物を手に自らを切ろうとする者もいて、止める側も命がけ——想像するだけで、恐ろしい情景が思い描ける。
映画は、映像として表現されたものがすべてだ。だが、小説や都市伝説のような語りは、聞き手の想像力に委ねられる。想像力が豊かであればあるほど、恐怖に際限がないのだ。だから私は、母の話を聞いてさらに夢見が悪くなった。
結局、視聴履歴の犯人は妹だった。電話で事情聴取していると、「ナオキマンは好きだし、あの番組も睡眠用に見てた」とのこと。やっぱりナオキマンは睡眠導入剤らしい。都市伝説好きをここまで引き継ぐとは、血は争えない。そんな家族に笑ってしまったのであった。
今週のお題「最近いちばん笑ったこと」