高校一年の夏、幻の部活が誕生した。通称「ヨガぷ」だ。
私は小学生の頃からソフトテニスをしていて、中学と高校の部活動も迷わずテニス部を選んだ。幼い時からラケットに触れていたおかげで、それなりに好成績で部活動の幕を閉じた。もちろんテニス部の思い出もたくさんあるのだが、今回は幻の部活動「ヨガぷ」について、書き残そうと思う。
「ヨガぷ」とは何なのか、その名の通りヨガを楽しむ部活動、になるはずだった。しかし、部活動とは名乗れなかった。職員会議であっさり却下されたからだ。理由はなんだったか、「予算がつけられない」とか「活動を残せるような大会がない」とか、もう忘れてしまったが、真っ当な理由で却下されたことは覚えている。だから、趣味の範囲で続けようということで、部活動改め「ぷ」活動として、密かにスタートした。
「ヨガぷ」の活動場所は保健室。毎週水曜日の17時から保健室にヨガマットを敷いて、ヨガをしていた。今考えてみてもシュールな光景だ。
なぜ保健室かというと、保健室の先生がヨガインストラクターの資格を持っており、というかこの先生が「ヨガ部やろうよ!」と提案してきたのだった。
保健室の先生って、ケガとか体調不良とか、そういうネガティブなイベントが発生しないと関わる機会はないと思う。でも、私のクラスは保健室掃除の担当だったから、毎週顔を合わせる機会があった。ベッドメイキングにとにかく厳しい先生ではあったが、次第に打ち解けるようになり、恋バナなんかもできるようになった辺りで、ヨガ部活動の話題が出たのだと思う。
女子同士仲良かった私のクラスでは、「ヨガ、やってみたい!」と一気に乗り気になり、保健室で保健室の先生によるヨガレッスンが始まったのであった。文化祭では図書室の一角を借りて「ヨガニードラ体験」まで企画して。活動としては意外と本格的だった。
けれど、学年が上がりクラス替えのタイミングで、「ヨガぷ」の活動は自然消滅してしまった。
いま社会人になった私は、健康と美容のためにヨガを始めたいと感じるが、あの頃の私たちに「本当にヨガをしたかった人」はいたのだろうか。あのとききっと一番本気だったのは、保健室の先生だ。ただ私たちは、「クラスの友達と思い出を作りたい」「これを機にもっと仲良くなりたい」それだけだった。そんな気持ちで始まった"幻の部活"が、10年以上経っても青春の記憶として残っている。
「ヨガぷ」創立の保健室の先生には、感謝しかない。
今週のお題「部活」