それはタイで迎える初めての食事だった。
タイ人の友人が自信満々に連れてきたお店は、スイーツのお店。
「何が食べたい?」という問いに、
ステーキという単語だけで肉汁たっぷりのお肉を想像してしまったわたしが悪いのだ。
「マンゴーステーキライスって日本にないよね?」と言ってしまった。
わたしの頭の中では、鉄板の上でジュージュー音を立てるステーキライスが待っていた。
出てきたのは、ぶつ切りにされたフルーツのマンゴーと米。
マンゴーライスだった。
しかもステーキではなく、スティッキーだった。
「もちもち」という意味らしい。

これは普通の料理だとタイ人は言い張り、ばくばくと食べ始める。
わたしはというと、「これはスイーツなのか夜ご飯なのか判断しかねますな。」とか言っていた。
翻訳すると、「食べたくないな。」だった。
単体で食べれば美味しいのに、なんでこうもまた合体させたんだろう。
思うことはたくさんあったが、ひとまず食べることにした。
これ以上食べないでいると、タイ人が悲しい顔をするからだ。
スプーンにマンゴーと米と、タイ人がこれも!といってホイップクリームものせてくれた。
一口食べると、マンゴーと米とホイップの味がした。
どれもよく知っている味だった。
そして、どれもが独立した味だった。
マンゴーも米もホイップもおいしい。
けどやっぱりどう考えても別々のほうがおいしい。
そう文句を垂れていると、
「日本だって、もち米は甘く加工するでしょう!それと一緒だよ!」と制された。
たしかにそれはそうだ。
次の日の夜は、屋台に連れて行ってくれた。
所狭しと屋台が軒を連ねている。
わたしはまた見つけてしまった。
口に出したわたしが悪かったのだ。
ただ見つけたから声に出しただけなのに、タイ人は嬉しそうにマンゴーライスを買ってきた。
屋台のマンゴーライスも、まあ美味しかった。
マンゴーがトロトロでマンゴーとしてのポテンシャルが高かった。
もち米も甘くて、スイーツ感があった。
会話に夢中だったわたしは、無意識のうちにマンゴーライスをぱくぱく食べていた。
気づいたら空っぽになっていたお皿にびっくりしたのは、わたしだけではなかった。
この不思議料理を、どうにかして日本のみんなに食べてほしい。
そう思うのだが、フルーツを持って帰るわけにはいかない。
だから、タイに行くことがあれば、ぜひ食べてほしいと願う。
多分、その意味不明な響きに、思わず「マンゴーライス」と言わざるを得ない。
最初はマンゴーと米は別々で食べたいと思っていたのに、
今ではちょっと、マンゴーライスも悪くない。





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