「食べられる魚を釣りたい。」そう会社で呟くこと1か月。
同僚の潜在意識に「魚釣りたい」が刷り込まれ、ついにキス釣りの決行が叶った。
わたしの釣りExp.はフグ一匹。
釣り人のおじいちゃんから釣り竿を譲り受け、意気揚々と岸釣りに出かけたが、岸からでは長すぎる竿だった。
フグを一匹釣ったところで、船釣り用だと気づいた。
食べられる魚=フグ以外なら何でもよかった。
会社でアウトドアアクティビティの権化がいて、そのひとがキス釣り行こうと誘ってくれた。
集合は朝6時。夏になると海水浴場になるような砂浜から釣る。
正直砂浜から釣るのは、どう森でしか見たことがなかった。
砂浜から釣れるような手ごろな釣り竿はもっておらず、「すみません、わたし船釣り用の竿しか持っていなくて…汗」という玄人よりの素人発言により、釣り道具一式を貸してらう。
海水浴中に魚を見たことがなかったので、砂浜から本当にキスが釣れるのか、半信半疑だった。
けれど、思っていた以上に、魚はいた。ボラなんてずっと跳ねていたしね。
糸をたらして引いていく中で、ピクッと魚が食いつく手ごたえが感じられて、しかもその感覚は、結構気のせいではなくて。
「あ、これはかかったかも。」と思ったときは、たいていキスorフグが針の先にいた。
釣り堀ほどのイージーさではなかったけど、この日はよく釣れる日だったのか、垂らせばだいたい何かが釣れた。ポンポン釣れると、楽しい。
はじめはゴカイをつけるのも一苦労だった。
大きいサイズのゴカイは、ちぎらないといけないし、針の形に添って刺していくのは見た目的にも気持ち的にもしんどかった。
「ありがとう!美味しい魚釣ってくれて。」とこれから海に投げられるゴカイに対して謝辞を送りつつ、引きちぎる。
何回かしていくうちに、ゴカイの気持ち悪さも餌にしてごめんという気持ちも、悲しいくらい薄れていき、無言で引きちぎるようになっていた。
慣れとは恐ろしいものだ。
だが、魚釣りで一番厄介だと感じていた餌付けが、いっちょ前にできるようになったのは成長を感じられる瞬間だった。
最終的にわたしたちは20匹のキスを釣った。大漁だ。
気が付くと、近所のおじいちゃんたちが釣った魚の周りに集まっていた。
「この砂浜で、こんなに釣れたんけ!そんなら、あんたらは釣り名人だな!」との賛辞。
なんてたって釣り人の孫!やっぱり、わたしには名人になれる素質があったか、と心の中で天狗になる。
アクティビティ権化は、もちろんソロキャンもするので、釣った魚を食べられるようにとコンロ一式も用意してきていた。
釣った魚をその場でてんぷらにして、はふはふ言いながら食べた。釣ったばかりの魚の身の締まり具合といったら…!ぷりぷりで何匹でも食べられる味だった。
美味しそうな匂いに、猫たちも集まって。大変申し訳ないけど、この美味しすぎるキスは譲れません。
「食べられる魚が食べたい。」というどん欲な夢が、最高の形で叶った。
釣りボルテージも最高潮に上がっている。
次は塩焼きでかぶりつきたいから、待ってろよ、秋とアジ!
